クロモジの香りから生まれた、お線香
- kiyokotsuyama
- 5 分前
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― 黒珠(こくじゅ)ー
クロモジという木をご存じでしょうか。
日本の森に自生する香木で、
古くから枝や葉が茶や薬、香りの素材として使われてきました。

私はある日、そのクロモジの香りに出会いました。
澄んだ空気の中に立ちのぼるような、やわらかく、どこか懐かしい香り。
その香りに惹かれ、クロモジ茶を日々飲むようになりました。
不思議なことに、その年はインフルエンザにも風邪にもかかることなく、
穏やかに過ごすことができました。
植物の力が、静かに心と身体を支えてくれているように感じています。
「香司」としては、和の香りに出会うと合する仕事をしています。以前から、クロモジを使ったお線香を作ってみたいと思ってしまいまして、
そんな折に出会ったのが、「白い森林の精」さんのクロモジでした。
精油をひと嗅ぎした瞬間、
その香りの繊細さと透明感に、思わず息をのみました。
強さではなく、やさしさで語りかけてくる香り。
森の奥深くに分け入ったときに感じる、静かな気配のようでした。
その精油と自分で丁寧に粉砕したクロモジ、日本が誇る神聖な麻炭を使い、
立春の日、御神水を使用しお線香を仕立てました。

クロモジに、少しの天然香料と麻炭を添え、仄かに香る、静かな線香を目指しました。
出来上がったお線香に火を灯したとき、
立ちのぼる香りは、想像以上にやわらかく、澄んでいました。
香りだけでなく、
そこに宿る気配までも清らかで、空間が静かに整っていくような感覚。
このお線香に、「黒珠(こくじゅ)」という名前をつけました。
黒曜石のように深く、森の闇の中で静かに光る珠のような香り。
目に見えないけれど、確かに存在するものを、香りに託しました。
「黒珠」は、数量限定で、ひとつひとつを“作品”としてお届けいたします。
同じものは二度と生まれない、その時、その香り、その気配だけの線香。
大量生産ではなく、香りと向き合いながら仕立てた、静かな表現です。
香りは、目に見えません。
けれど、確かに心に触れ、日常の奥にある静けさを思い出させてくれます。
「黒珠」が、誰かの時間に、
そっと寄り添う香りとなりますように。



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